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(2)輝く人へ           <<戻る  次へ>>



ある意味、わたしの時間はあの日のまま止まってしまっている。
ずっと何も言えないまま、聞けないまま…。

きっとあの人にとって、それはとっくの昔に過ぎたことで、
もう前へ向かって時計の針は進んでいる。

わたしだけが取り残されてしまった。

でも、そもそもあれは、あの人だったのだろうか?
それすら今となっては分からない。

暗くてよく見えなかった画面。あの人!?と思った瞬間には消えていた。
頭がパニックになってしまって、どうしてもことばも行動も出てこなかった。

そして大分経ってから、
信じられない、うそうそ、嬉しくて、天にも昇る思い…
でも、私なんかに、きっと無理…きっと嫌われちゃう…
どうしたらいいんだろう…全然分からない…
頭の中がグルグルしていた。

結局、そのことを話題にすることも、聞いてみることも、
臆病さからできなかった。
だって、「そんなこと知らない」と言われてしまうのが怖かったから。

本当にあの人ではなかったとしたら、わたしは「ヘンな人」の烙印を押されて、
もう会わす顔がなくなってしまう。

それは嫌だった。
会いたかったから。

だから、あの日のわたしの疑問は、そっと心の中にしまっておこうと決めた。
何も知らなかったことにしておこう、と。

でも自分自身には嘘をつけない。
いつも、いつも、あのとき返事をしていたら、
わたしの人生はどんなだったのだろう、と思わずにはいられない。

そんなこと考えても意味がないのに。
時計の針は、とっくに進んでいるのに。
それとも、そんなに深い意味はなかったのかな?
そもそも、あの人ではなかったのでは…?

そのあと何度も会って、たくさん色々なお話をして、
色々なことを教えてもらって、楽しい時間を過ごせて、
ほんとうに嬉しくて、しあわせで、
会うたびにますます惹かれて…
それだけでいい。本当にそう思っている。

でも、ひとりのときに、ふとあの日のことを思い出してしまう。

あの人はとっくに前に向かって歩いているのに。
それとも、あれはやっぱり人ちがい…?

現在を充実して生きている、輝いているあの人がまぶしい。

あれは、あの人ではなかったのかも知れない。
あの人だったとしても、あまり意味のあることではなかったのかも知れない。
わたしだけが、心のどこかでずっと引きずっていて、
しつこいというか、重いというか、、、
これはどう考えても、迷惑な気持ちですよね。。。

もし本当にあの人だったのだとしたら、「いい加減に忘れてくれ!」
っていう話ですよね。。。ごめんなさい。。。

でも大丈夫です!
いつもそればかり考えているわけではなくて、
それ以上に、現在話していることばとか、声とか、ぬくもりとか…
わたしにとっては、それのほうが、ずっと大切なんです。

「人間にとって過去が人生に彩りを添えている」ということを書いたけれども、
そう思えれば、もう少しわたしも自由に、豊かになれるかも知れないと思うだけで、
実は過去の時間に閉じ込められているだけかも知れない。
本当は、わたしも現在の「この瞬間」を、生きたい。

わたしだって、今、この瞬間を生きたいのに。

この瞬間、瞬間を、確実にキャッチしながら、
楽しみながら、頑張りながら、毎日を充実して過ごしているあの人は、いいな…。
明るくて、光っていて。

「もっと直観的」って、言っていた。
わたしも、心からそう思う。
きっと、絶対、そのとおりだって。

わたしだけが置いてきぼりになってしまったな…。

でも、こんなでは、ダメダメ。
笑顔でいなくちゃ。
あの人のしあわせを応援してあげたいんだから。

本当はさみしくて、さみしくて仕方がないんだけれど……、
そんな自分のことばかり考えていたら、ダメです!

そう思って、少しずつ前に向かって歩いていけるように、
自分なりに奮闘中。

あの人に恥ずかしくないように、
がんばります。





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